
――秘密のレッスン――
「先生、お久しぶりです。」
静かなカフェで、彼女は微笑んだ。
高校時代の教え子、吉川紗季(さき)、29歳。
左手の薬指には結婚指輪が光っている。
「まさか連絡をもらえるとは思わなかったよ。」
そう答えたのは、沢村翔(さわむら)、35歳。
かつて紗季の担任だった男。
「先生のことを、ふと思い出して……。」
「結婚して、もう何年になる?」
「3年です。でも……最近、何もかもが空っぽに感じるんです。」
沢村は黙ってコーヒーを口に運んだ。
「先生は、あの頃と変わらないですね。」
「そんなことはないよ。」
「……先生に会ったら、高校のときの気持ちが戻ってきました。」
「紗季。」
名前を呼ばれるだけで、胸が熱くなる。
それが、もう危険な兆しだった。
◇
気がつけば、紗季は沢村の部屋にいた。
夜の静寂。窓の外には遠く街の灯り。
「帰らなきゃ……。」
そう言いながらも、足が動かない。
「帰るなら、止めない。」
沢村の指先が、紗季の髪に触れる。
「でも……。」
「高校の頃、お前に手を伸ばすことはできなかった。」
「……。」
「でも今は、もう関係ない。」
次の瞬間、唇が触れた。
理性が崩れていく。
夫がいるのに。
戻れないと知っているのに。
静かな部屋で、二人は堕ちていった――。
「午前0時のオフィス」
東京の高層ビルの一角。
広告代理店で働く**遠野葵(とおの あおい)**は、デスクに積まれた企画書と向き合っていた。
夜のオフィスには、彼女と数人の残業組だけ。静寂の中、パソコンのタイピング音が響く。
「遅くまで頑張ってるな。」
不意に聞こえた声に、葵は驚いて顔を上げた。
そこに立っていたのは、営業部のエース橘悠真(たちばな ゆうま)。
切れ長の瞳に、ゆるく巻いた黒髪。社内でも評判の男性だった。
「橘さんも残業ですか?」
「まあね。でも、君ほどじゃないよ。」
そう言って、彼は葵のデスクに目を向ける。
「この案件、大変なんだろ?」
「はい…。締め切りが明日なので、もう少し詰めたくて。」
「頑張るのはいいけど、無理するなよ。」
悠真はそう言って、コーヒーを差し出した。
「え?」
「眠気覚ましにどうぞ。」
「…ありがとうございます。」
葵はカップを受け取り、微笑んだ。
橘悠真とは、以前から仕事で関わることが多かった。彼は優秀で、クライアントからの信頼も厚い。けれど、どこかミステリアスで、近寄りがたい雰囲気を持っていた。
そんな彼が、こうして自分を気にかけてくれるなんて――。
「そうだ。ちょっとリフレッシュしない?」
「リフレッシュ…ですか?」
「屋上、行こう。」
突然の提案に戸惑いながらも、葵は頷いた。
「二人きりの屋上」
ビルの屋上は、東京の夜景が一望できる特別な場所だった。
「すごい…。綺麗ですね。」
「だろ?」
夜風が心地よく、葵はふっと息をついた。
「こういう景色を見ると、悩みなんてちっぽけに思えてくるな。」
悠真は夜空を見上げながら、ポケットに手を突っ込んだ。
「…橘さんは、悩みとかないんですか?」
「俺も人間だからな。いろいろあるさ。」
そう言いながら、彼はふっと微笑んだ。
「でも、頑張る君を見てると、なんだか励まされるよ。」
「…私が、ですか?」
「うん。真面目で、一生懸命で。そういうところ、素敵だと思う。」
その言葉に、葵の心臓が跳ねた。
「……橘さん?」
彼がゆっくりと距離を縮める。
「…ダメかな?」
静かな夜。
二人だけの空間で、唇がそっと触れた
「午前0時のオフィス」―続き―
橘悠真の唇が触れた瞬間、葵の頭の中が真っ白になった。
心臓の鼓動が早まる。
けれど、不思議と嫌な気持ちはしなかった。
「……っ」
そっと身を引いた悠真が、葵の瞳を覗き込む。
「驚かせた?」
「……少し、だけ。」
葵は視線を逸らした。
自分たちはただの同僚で、仕事のパートナー。
それ以上の関係になってはいけない。
――なのに。
「橘さん、私たち……こんなことしちゃ……。」
「やめた方がいい?」
低く囁く声に、葵の心が揺れる。
「……分かりません。」
「俺は、もっと知りたいと思ってる。」
「……え?」
「葵のこと。」
彼は初めて、葵の名前を呼んだ。
それだけで、全身が熱くなる。
「橘さん……。」
夜風が吹き抜ける。
それでも、葵はその場を動けなかった。
「明日、仕事終わったら少し時間ある?」
「……え?」
「話したいことがある。」
「……分かりました。」
自分はどうして頷いたんだろう。
それでも、もう後戻りできない気がした――。
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